スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
  1. --/--/--(--) --:--:--|
  2. スポンサー広告

9

ここは、本当に昔のままだ。と彼女は思う。
具体的に、どこがどうとはいえないが、
彼女にとっては、ここは以前のままだ。
そして、おそらく、彼にとってもそうだろうと思う。

だからこそ、二人はここでもう一度、出会うことができたのだ。
二人が奇跡になんか、奉り立てられる前の、ただの二人に。
そしてここを出たら、二人はまた「奇跡の二人」となる。
何の奇跡も起こせない、ただの男と女なのに。
しかも、二人はもはや、ただの中年のおじさんとおばさんなのに。
安定した生活を抱えて、運命と呼ばれた恋も、もはや過去の遺物に過ぎない、それなのに。

変わってしまったのは、ずっと彼のほうだと思っていた。
だけど、頑なに変化を拒否する事で変わってしまっていたのは、
むしろ自分のほうであったのかもしれない、
今になって彼女は思う。

この泉を、二人で出てはいけない。
二人ではなく、別々の、一人として。
ここを出て、道を探さなければいけない。

あの時、道を見失って、それでも道から外れられなくて
泣き出した彼女の涙を止めてくれたのは、ここにいる彼だった。

今になって思えば、あの時彼女は誰かに許してほしかったのだ。

誰かに、許しを請いたかった。

旅を、迷う自分を。怖くて、誰かにすがりたいと思う自分を。
そして一言、大丈夫だ、といってほしかったのだ。
彼はそれをした。
そういってもらえることで、彼女は道を作ろうと覚悟を決めたし
何も恐れることはないのだと思えたのだ。

大丈夫だよ。

そして今、彼女は、自分自身で、自分を許そうと思う。
彼と二人でいることができない自分を、許そうと思う。
私は、スピラの希望なんかじゃないのだ、と
声を大にして言おうと思う。
私は、私にとっての、希望なのだ。
それでいいじゃないかそうだそうだ。と、そう思う。
そしてそんな自分を、誰が許してくれなくてもいいとさえ思う。

そうなって初めて、あなたがいてよかった、と、そう思うから。
あなたはずっと、私の希望でいてくれようとしたのだ。
だから、あなたを解放してあげようそうしよう。

そして、そうやって寄り添った二人は
どんな妄想よりもずっと、真実だったのだ。
あなたはずっと私のそばにいて、大丈夫だと言い続けてくれた。
それは夢でも妄想でもない、本当に真実だったのだ。
奇跡でも希望でもない、二人だけの真実だったのだ。
だから、それが真実であるために、
二人の幕引きは二人で行うべきなのだ。

スポンサーサイト
  1. 2000/10/04(水) 03:19:44|
  2. 【物語】FFXのお話
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。